【弁護士が解説】養育費の時効は何年?止める方法はある?
離婚で生じる養育費には時効があるため、相手に払ってもらえないまま時効になってしまう可能性があります。
しかし、子供にとって必要な費用なので、何とかしたいと思う方は多いでしょう。
この記事では、時効を止める方法について、解説します。
養育費の時効
養育費の時効は、調停などで合意した場合と家庭裁判所で取り決めた場合では異なります。
養育費を取り決めていない場合
養育費を取り決めていない場合は、時効は問題にならず、離婚後何年かたったとしても、子どもが成人するまでは養育費を請求できます。
ただし養育費の取り決めがない場合、起算点が養育費の請求を行った時点となり、基本的には過去に遡って請求ができないので注意が必要です。
調停で取り決めた場合の時効
養育費に関しては令和2年4月1日に改正され、改正前に適用された民法169条の条文が削除され、166条が適用されることになりました。
それによると、養育費の時効は請求できることを知ってから5年で時効になるのが原則とされています。
ただし、例外として家庭裁判所で養育費を取り決めた場合は、時効が10年になります。
確定判決と同等と考えられる効力(家庭裁判所)によって確定した権利だからです。
ただし、確定の時に弁済期の到来していない債権である将来的な養育費の時効は、調停調書に記載していても、5年のままです。(改正された民法169条2項より)
養育費の時効を止める方法
相手が養育費を支払わない場合に、時効を止める方法を紹介します。
時効の更新
時効の更新は、時効がリセットされ、時効がやり直しになる方法です。
民法147条1項1号により、「裁判上の請求」によって時効が更新できるとされています。
養育費の場合、家庭裁判所で行う調停や審判が「裁判上の請求」にあたる可能性があります。
強制執行により、時効が更新できると考えられるのは、以下のケースです。
- 家庭裁判所で養育費を取り決めていた(民法148条1項1号)
- 公正証書がある(民法148条1項1号)
- 支払義務者が債務を承認した(民法152条1項)
時効の一時完成猶予
たとえ時効になったとしても、6ヶ月間時効の完成を猶予できる制度もあります。(民法150条1項)
この場合は裁判以外の方法で、相手に支払いを促すことが条件です。
たとえば、養育費の消滅時効期間が近くなったら、内容証明郵便などで相手に支払いを請求すれば、6ヶ月間の猶予になると考えられます。
6ヶ月間の猶予の間に以下の方法で、養育費の請求をするケースが多いです。
- 離婚調停
- 相手と話し合う
いずれにしても、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
養育費の時効、時効を止める方法について解説しました。
離婚して子供を育てている場合、養育費が必要ですが、相手によっては支払わない場合があります。
養育費の時効は5年なので、時効が迫っても支払いに応じない場合は、時効の更新や一時完成猶予といった方法を用いて、支払ってもらう方向に持っていきましょう。
初雁総合法律事務所では、離婚のお困り事のご相談に乗ります。
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野口 眞寿Masatoshi Noguchi / 第一東京弁護士会
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- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
- 略歴
-
2008年 東洋大学法学部 卒業 2011年 東洋大学法科大学院 卒業 2011年 司法試験合格 2012年 弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
2013年 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
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