離婚協議書の作成方法と記載例
離婚の際には、離婚協議書を作成することがおすすめです。
離婚する際に取り決めた条件を細かく書面にしておくことで、言った言わないの争いや、認識違いによるトラブルを防ぐことができます。
この記事では、離婚協議書の具体的な記載例を解説します。
離婚協議書について
離婚協議書とは、離婚の際に決めた条件を書き出し、書面にしたものです。
主に以下の条件について、合意した内容を書面にまとめます。
- 親権者
- 養育費
- 面会交流
- 慰謝料
- 財産分与
そのほか、夫婦間で取り決めた内容がある場合には、細かく記載しておきます。
書面に残しておくことで、相手が取り決めを守らなかった場合にも法的な措置が取りやすくなります。
離婚協議書の作成方法
合意内容を記載した書面に、夫婦それぞれが署名・押印することで作成できます。
弁護士に依頼することも、夫婦のみで作成することも可能です。
離婚届を提出する前に作成することが一般的ですが、離婚届を提出したあとに作成しても構いません。
ただし慰謝料の請求には時効があるため、できるだけ速やかに作成してください。
離婚協議書の作成で注意すること
後々トラブルにならないよう、内容は具体的に記載します。
認識の違いが発生しないよう、文章にする際には言い回しに注意する必要があります。
失敗なく作成するには、テンプレートなどの記載例を参考にすると安心です。
離婚協議書の記載例
離婚協議書を作成する際には、まず当事者を明確にするため、次のように書きだします。
●●●●(以下甲という)と■■■■(以下乙という)は、甲乙間の離婚について以下のとおり合意する。 |
次の項目からは、合意内容を記載していきます。
離婚の合意
協議離婚の場合、まずは離婚に対する合意を明記します。
具体的な書き方は次の通りです。
第1条(離婚の合意) 甲と乙は協議離婚することに合意し、甲は離婚届を記載し署名押印の上、その届出を乙に託し、乙は直ちにその届出をする。 |
届出に期限を定める場合には、「〇年〇月〇日までに」と期限を記載しても構いません。
子どもに関する合意内容
親権や養育費に関する合意内容は以下のように記載します。
第2条(親権) 甲乙間の子△△(平成△年△月△日生)の親権者・監護者を乙と定める。 |
子どもが複数人いる場合には、それぞれの名前と生年月日を記載し、親権者を明記します。
第3条(養育費) 甲は乙に対し、子の養育費として令和〇年〇月から18歳に達する日の属する月まで、1人につき1か月〇万円を支払うこととし、これを毎月末日限り、乙が指定する口座に振込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。 |
養育費を支払う期間や金額だけでなく、毎回の支払期日や方法を記載しておくことで、支払いが遅れた場合などに対応しやすくなります。
また進学等、子どもに関する特別な出費があった際の取り決めを行った場合には、その内容も記載してください。
面会交流については次のように記載します。
第4条(面会交流) 乙は甲に対し、甲が子と月に〇回面会することを認め、その具体的な日時や場所、方法等については子の福祉に配慮して、甲乙間で協議して定める。 |
面会交流の頻度や具体的な内容が決定している場合には、その内容を細かく記載しておきます。
財産に関する内容
財産分与は以下のように記載します。
第5条(財産分与) 甲は乙に対し、財産分与として金△△万円の支払義務があることを認め、これを令和●年●月●日限り、●銀行●支店の乙名義の普通預金口座(口座番号●●)に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。 |
金額や支払期日などを細かく書いておくことで、万が一支払われなかった場合に備えられます。
慰謝料がある場合には、慰謝料についても記載します。
第6条(慰謝料) 甲は乙に対し、本件離婚による慰謝料として金△△万円の支払義務があることを認め、これを令和●年●月●日限り、●銀行●支店の乙名義の普通預金口座(口座番号●●)に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。 |
場合によっては、慰謝料の支払いや財産分与を行わないと決めることもあります。
その際にはトラブルの発生を防ぐため、その旨を記載しておくと安心です。
清算条項
最後に、離婚協議書に記載された内容以外の請求を行わないことを示すため、清算条項を記載します。
第7条(清算条項) 甲と乙双方は本件に関し、本協議条項に定めるほか債権債務のないことを確認し、今後、財産分与、慰謝料等名目のいかんを問わず、互いに金銭その他一切の請求をしない。 |
最後に記入年月日と双方の住所氏名を記載し、押印すると完成です。
記入を終えた協議書は、お互いがそれぞれ1通ずつ保管します。
まとめ
この記事では離婚協議書の書き方について、記載例とともに紹介しました。
トラブルを防ぐには、必要事項を過不足なく記載することが大切です。
細かな記載内容はケースごとに変わるため、テンプレートをそのまま活用するだけでは不十分な場合もあります。
離婚協議書の作成は弁護士までご相談ください。
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野口 眞寿Masatoshi Noguchi / 第一東京弁護士会
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- 所属団体・資格等
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- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
- 略歴
-
2008年 東洋大学法学部 卒業 2011年 東洋大学法科大学院 卒業 2011年 司法試験合格 2012年 弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
2013年 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要
Office Overview
| 名称 | 初雁総合法律事務所 |
|---|---|
| 資格者氏名 | 野口 眞寿(のぐち まさとし) |
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