離婚後の養育費の平均相場は?
離婚後の養育費の平均相場は、母子家庭の場合、概ね月額5万円前後となっています。
子どもを養育する親が離婚後に受け取れる養育費については、算定方法が確立されており、相場も正確なデータがあります。
本稿では養育費の算定方法や平均相場を左右する要素について解説します。
離婚後の養育費とは
離婚に際して夫婦の間に未成年の子供がいる場合は、成人するまでの養育費を夫婦が共同で負担するのが原則です。
親権を持たない父親から、親権を持ち未成年の子どもを監護養育することになった母親に対して、養育費が支払われるのが一般的ですが、逆のケースもあります。
養育費の相場や算定方法については、相場についての詳細なデータや算定方法に関して、報告書が公表されています。
令和6年民法改正による養育費制度の変更
今後、民法改正法が施行されると離婚後の親権について、共同親権と単独親権のどちらかを選ぶことが可能になりますが、単独親権を選択した場合でも、親権を持たない親も養育費を負担します。
また、養育費については、民法改正法により、今後は、離婚時に養育費について取り決めをしていなかったとしても、最低限の額を請求できる法定養育費制度が始まります。
養育費の平均相場
養育費の平均相場は、母子家庭と父子家庭とで大きく異なります。
こども家庭庁が公表している令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果によると、次のような数字になっています。
母子家庭が受け取る養育費の月額 | 50,204 円 |
父子家庭が受け取る養育費の月額 | 26,543 円 |
父親の方が母親よりも収入が多い場合が一般的なので、父親が母子家庭に支払う養育費の方が高額になる傾向があります。
また、父親が子どもを監護養育しているケースで、父親の方が収入が多いケースでも、母親が養育費を負担しなくてよいとは限りません。
養育費は父親と母親が共同で負担するのが原則なので、母親の収入次第では、母親が父子家庭に養育費を支払うケースもあります。
養育費の算定方法
養育費の算定方法については、家庭裁判所の養育費請求調停で利用される「養育費・婚姻費用算定表」が用いるのが一般的です。
子どもの年齢、人数に応じて、適切な算定表を選び、養育費の支払義務者と権利者の年収を突き合わせて、適切な養育費の相場を探ります。
算定表は次の9パターンが用意されています。
- 養育費・子1人表(子0~14歳)
- 養育費・子1人表(子15歳以上)
- 養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
- 養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0~14歳)
- 養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)
- 養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子0~14歳)
- 養育費・子3人表(第1子15歳以上、第2子及び第3子0~14歳)
- 養育費・子3人表(第1子及び第2子15歳以上、第3子0~14歳)
- 養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子15歳以上)
参考リンクhttps://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
この算定表により算出する養育費はあくまでも目安に過ぎません。
具体的な養育費の額は、個々の事情により異なりますから、最終的には、当事者同士の話し合いや養育費請求調停で決めます。
ケース別 養育費の平均相場
では、「養育費・婚姻費用算定表」に従って、養育費の平均相場のイメージを確認してみましょう。
子ども2名(14歳以下)の母子家庭・母親の年収300万円(給与)のケース
父親の年収(給与) | 養育費の月額 |
200万円の場合 | 1万~2万円 |
300万円の場合 | 2万~4万円 |
500万円の場合 | 6万~8万円 |
このように、養育費の支払い義務者である父親の年収が多ければ多いほど、請求できる養育費の額は増えます。
子ども2名(15歳以上)の母子家庭・母親の年収400万円(給与)のケース
父親の年収(給与) | 養育費の月額 |
200万円の場合 | 2万~4万円 |
400万円の場合 | 4万~6万円 |
600万円の場合 | 8万~10万円 |
子どもが中学を卒業した後は、高校や大学へ進学し、教育費が多額にかかるようになります。
そのため、養育費の支払い義務者である父親が負担すべき養育費も増額されます。
養育費の平均相場を左右する要素
養育費の平均相場を左右する要素は主に次の5つです。
- 子どもの人数と年齢
- 子どもが通う学校
- 子どもの持病・障害の有無
- 両親の年収格差
- 義務者側の学歴
それぞれ確認しましょう。
子どもの人数と年齢
子どもの人数が多いほど、また子どもの年齢が高いほど、養育費の平均相場は高くなります。
特に、子どもが15歳以上になると、学費もかかるようになるので、養育費も必然的に高くなります。
子どもが通う学校
子どもが私立の学校に通っている場合は必然的に養育費も高くなります。
子どもの持病・障害の有無
子どもに持病や障害がある場合は、医療費がかかるため、養育費も高くなります。
両親の年収格差
養育費の支払い義務者の年収が多く、養育費の権利者の年収が少ない場合は、養育費の額は高額になりがちです。
逆の場合は、養育費の額は低くなりますし、差がない場合も、双方が等しい割合で負担する形になるため、平均的な額になります。
義務者側の学歴
養育費の支払い義務者の学歴が高い場合は、子どもにも同等の教育を受けさせる義務があると考えられていることから、養育費も高額になる傾向があります。
まとめ
養育費の平均相場は、母子家庭の場合、月額5万円程度となっています。
ただ、養育費を受け取る側が月額5万円ではとても足りない場合は、義務者側に対して、増額の交渉を行うことができます。
また、義務者側に養育費が多額で負担が重いといった事情がある場合も減額の交渉が可能です。
いずれの場合でも、当事者同士の話し合いだけでは、適切な養育費の額を決めることが難しいこともありますので、養育費の額について悩んでいる方は、弁護士にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
【弁護士が解説】養育...
離婚で生じる養育費には時効があるため、相手に払ってもらえないまま時効になってしま[...]
-
離婚と子どものこと|...
離婚する場合、子どもに関して様々な問題が生じます。子どもの親権のみならず、監護権[...]
-
離婚協議書の作成方法...
離婚の際には、離婚協議書を作成することがおすすめです。離婚する際に取り決めた条件[...]
-
親権と監護権の違いと...
離婚を考えているものの、親権の問題があり踏ん切りがつかないという方もいらっしゃる[...]
-
養育費が払えなくなっ...
離婚をし、子供の養育費を支払っている方もいらっしゃるでしょう。養育費に関しては原[...]
-
養育費の計算方法
現在の日本では、離婚率が35パーセント前後だといわれています。また、一番離婚率が[...]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
資格者紹介
Staff

野口 眞寿Masatoshi Noguchi / 第一東京弁護士会
離婚や夫婦関係のお悩みに強い弁護士をお探しならお任せください。
私は文京区、板橋区、北区、江東区を中心に、離婚や夫婦関係のお悩みに関する法律のご相談に対応しております。
お困りの際は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。。
- 所属団体・資格等
-
- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
- 略歴
-
2008年 東洋大学法学部 卒業 2011年 東洋大学法科大学院 卒業 2011年 司法試験合格 2012年 弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
2013年 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要
Office Overview
名称 | 初雁総合法律事務所 |
---|---|
資格者氏名 | 野口 眞寿(のぐち まさとし) |
所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F |
連絡先 | TEL: 050-3184-3790 |
対応時間 | 平日10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能です) |
